宜野湾市の書店文化財、「Booksじのん」!

沖縄の書店文化財として取り上げる本屋はまずこの「Booksじのん」です(Booksじのんのホームページはこちらです)。

この「Booksじのん」の前身は1981年創業のロマン書房という本屋だったそうです。そのロマン書房から現在の「BOOKSじのん」に店名が変わったのは1997年2月なのでそうです(店名の由来)。

この「Booksじのん」を沖縄の書店文化財と私が呼ぶ理由は沖縄関連本の蔵書の多さです。全てが沖縄関連本というわけではありませんが、入店すると目の前に「沖縄の本全般」というサインが目に入ります:

所狭しと沖縄関連本が並べられています。「移民」のサインが棚に見えます。沖縄から移民した人たちを題材にした本が並べられています。

少し寄ってみましょう:

沖縄から海外に移民した人々に関連する本が所狭しと並べられています。。

こちらは沖縄・奄美の「方言」に関する本を並べた本棚です:

方言に関する本だけでぎっしり本棚が詰まっています。

谷川健一さんの「沖縄 辺境の時間と空間」という本を以前ここで購入しました。1,500円でした。

ここから選びました:

谷川健一さんの本もたっぷり揃ってます。

谷川健一さんは民俗学者で沖縄の民俗学に関わる本も多数執筆されています。谷川健一さんのWikipedia情報はこちらからどうぞ。谷川健一さんは2013年に亡くなられました。

「沖縄 辺境の時間と空間」はこんな本です:

伝わるでしょうか。この年季。

本を開くとこんな感じです。

第1章の「与那国・石垣・宮古の旅」の冒頭を引用します:

与那国・石垣・宮古の旅

私が日本の最辺境である与那国島の、飛行場というよりは草原に引かれた短かい滑走路に降り立ったのは、昨年暮の二十九日のことである。そこはさいはての島にふさわしく、どこか世ばなれした風景をみせていた。空気が透明なので遠くまでよくみえる。飛行場の向うの岬も、はるか珊瑚礁にくだける白波も、大きな岩盤の層をもつ山も、何万年、何千年まえと寸分ちがわないように、すべてが静寂につつまれていた。鼓膜をつき刺すしいんとした音は、あまりに物音がないので、私の耳がそのしずかさを音であるように錯覚しているのだった。この島に三台しかないというタクシーにのって無人の道を祖納の部落に向う途中、私の眼にはいったのは右手にえんえんとつづく巨大な台地状の岩塊であった。この雄大というだけでは足りない、力強く奇異な風景は、沖縄のどこにもない、与那国独特のものである。[…]

…素晴らしい。

「昨年暮」というのは1969年のことであることが他の章を読むとわかります。この頃は島にタクシーが3台しかなかったんですね。

奥付をみると「1970年11月30日第1版第1刷」とあります。私が購入したのは1974年の第4刷です。1970年の与那国が描写されている時点でこの本が歴史史料としての価値も併せ持つ、と思うのは私だけではないと思います。

2007年に谷川健一全集の1冊として再出版されているのですが、7,150円!高い!需要が少ないからでしょうか。ここ「Booksじのん」であれば2,000円しません。

この高い方、「谷川健一全集〈第6巻〉沖縄2―沖縄・辺境の時間と空間 孤島文化論(抄録) 他」のアマゾンリンクはこちらからどうぞ。

とにかく、沖縄好きの人はこの「Booksじのん」に一度足を運んでもらいたい。気になる本を手に取ってみたら良いんです。面白そうだ、と思ったら買えばいいんです。

沖縄の書店文化財はここだけではありません。機会をみて他の沖縄の書店文化財を紹介します。

Booksじのん
宜野湾市真栄原2-3-3
TEL:(098)897-7241

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